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「抑鬱(うつ)状態」について 岡本病院 理事長・院長 岡本呉賦
---どういった症状で来院される方が多いのでしょうか?
統合失調症、躁鬱(そううつ)病で来院される方よりも、仕事のストレス、人間関係のストレスによって軽い抑鬱状態に陥っている方が多く来院されます。抑鬱状態は心だけではなく、睡眠障害や全身のだるさなど、体にも症状が現れてくることがあります。この場合、内科、婦人科など他科で診察を受けても、原因の元は「鬱」にあるのですから解決にはなりません。早急に精神科での治療が必要となります。
特に睡眠障害については、軽視してはいけません。睡眠は体を休めるだけでなく、脳を休める働きも担っています。睡眠障害が長く続くと、疲労困憊(こんぱい)の状態になってしまいます。
---抑鬱状態にあることを知る兆候などはありますか?
「学校、会社に行くのが億劫(おっくう)になる」「人と会うのが苦痛になる」「電話に出るのが怖くなる」「食欲がなくなる」「献立を考えるのが苦痛になる」「性交渉が苦痛になる」など、今までの自分とは、どこか、何か違っていると感じるならば、抑鬱状態の兆しと考えられます。
---どういった治療法を取るのでしょうか?
治療は、まず患者様の話をよく聞くことから始めます。家族構成、生い立ち、人間関係、そしてときにはセクシャルな部分にも触れなければいけないケースがあります。なんらかの形で心に無理、負担がかかっているわけですから、元となる原因を探っていかなければならないからです。精神科医が方向を決め、ケースワーカー、臨床心理士、作業療法士などと力を合わせて治療に当たる場合もあります。心の治療は、単純に割り切れるものではありません。非常に時間、手間暇のかかる治療となります。「精神科」と聞くと敷居が高く感じられるのか、訪れにくいと思われる方が多いようです。精神科は、心のリハビリテーションを行う科のひとつなんだという認識で、もっと気軽に相談に立ち寄ってもらいたいと思います。
(2000.5.31)
「五月病と呼ばれる状態」について 精神科副院長 村木彰
---一般的に五月病と呼ばれる病気は、どのような状態を指しますか。
実際には、五月病という病気は存在しません。学生、特に大学生がせっかく入学したば かりの5月であるにもかかわらず、学習意欲を失ったり、登校しなくなってしまう現象をそ う称したのが始まりといわれています。
新しい環境への不適応と考えられる登校拒否、出社拒否を含む精神的な不安定状態を 慣用的に示す言葉として使われているようです。
そこには単純に、本人の問題として、大学生活に失望した、やる気を失ったなどという病 気とは言い難い状態も含まれます。
このように、五月病という言葉自体があいまいなものですから、五月病だからこうだと言 い切れることはありません。ただ、4月、5月は、環境の変化に伴う肉体的・精神的負担 の増加などから、いわゆる燃え尽き症候群などを呈する人が多くなるのは事実です。
また、季節の変わり目に当たりますから、体のリズムに変調をきたしやすいということも あります。
五月病と呼ばれるような社会生活から身を引く状態が数ヶ月持続し、その間趣味や本来 好きな事柄に熱中する意欲もなくなるようであれば、その背景に鬱(うつ)病が隠れてい る可能性も考えられます。
---鬱病についてお聞きしたいのですが。
鬱病とは、簡単にいえば、脳内の元気の素(もと)が枯れてしまっ ている状態です。柔軟性があるか否かなどの個人的な資質と周り の環境も大きく関与しています。
一般的に、食欲不振、睡眠障害などが初期症状として現れること が多いため、患者様の多くは内科を受診されますが、身体的に は異常所見が見当たらないため、精神科にいらっしゃるわけです。
鬱病は、抑鬱状態を呈するさまざまな病態の中の一つですが、そ の中でも特に治療の効果がはっきりと出るケースが多く、治療を 開始して4週間〜2、3ヶ月での完全な治癒も期待できます。一般に抑鬱状態とは、気持 ちが晴れない、意欲が出ないなどの状態を指しますが、その種類は幅広く、治療法もそ れぞれ異なります。精神科はかかりにくい、と思われる方が多いようですが、治療の方向 性などは専門医でなければ判断できませんので、もっと気軽に相談に立ち寄ってもらいた いと思います。(2001.5.16)
「肥満」について 内科医長 松浦信博
---肥満について教えて下さい。
肥満には、病気が原因となる症候性肥満と過食や運動不足による単純性肥満がありますが、ここでは約9割を占める単純性肥満についてお話しします。大人の肥満の場合、脂肪細胞の数が増えることはめったに無く、細胞自体が大きくなることによる肥満がほとんどです。摂取した熱量が消費する熱量を上回った結果、肥満になりますが、その原因はさまざまな要因が複合的に関連していると考えられます。
誤った摂食パターンや過食、運動不足などです。遺伝によって「太る」ということも確かにありますが、これは食生活に気を付けていれば、克服可能な程度がほとんどです。
日本肥満学会が提唱する肥満の判定基準があります。BMI(ボディマスインデックス)といい、体重(kg)÷身長(m)の二乗で計算し、22が標準、20〜24未満なら正常、24〜26.5はやや肥満、26.5以上なら肥満です。
---肥満による合併症や、肥満を解消するための方法を教えて下さい。
大人の肥満には2つのタイプがあります。内臓脂肪型肥満は、 腹部を中心に太り、リンゴ型とも呼ばれ男性に多いタイプです。 もう1つは、皮下脂肪型肥満で、洋ナシ型と呼ばれ下半身に脂 肪が付く女性に多いタイプの肥満です。
問題が多いのは、リンゴ型肥満で、糖尿病、高血圧、動脈硬化、 高脂血症など生活習慣病になる確率が高くなります。肥満解消 の方法は、やはり食生活を見直すことが一番です。三大栄養素 をバランス良く取り、脂質の摂取量を減らします。昔ながらの和 食を中心にすると良いでしょう。三食きちんと食べ、朝食はしっか り、夕食は控えめに。薄味に慣れ、間食やアルコールを減らしましょう。
運動ももちろん大切ですが、継続が一番効果的なので、無理のある運動はせず、長く続 けられるようなものにしましょう。5,6kmの歩行、歩数にすると1万歩くらいですが、これ を1週間に3回程度行えばいいでしょう。肥満解消に近道、王道はありません。生活習慣 を見直し、焦らずゆっくり継続することです。(2001.8.22)
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